読売新聞 2000年12月14日
◆市民・学生の「先生」が好評(東京)(12/14)

 地域住民や女子大生らが先生役を務める「授業」が、八王子市内の小学校で相次いで行われ好評だ。パソコンに英語と分野は異なるものの、新たな試みは子供たちの学習意欲を刺激するものと期待されている。
 八王子市立松木小学校(同市松木、伊東学校長)では、父母や地域住民で作る「松木インターネットボランティアの会」が児童のパソコン指導に取り組んでいる。
 同校に3人の子供が通う大妻女子大助教授の炭谷晃男さん(48)は昨年12月、学校にパソコンが3台しかないことを知った。「情報教育が叫ばれている時代に..」と感じた炭谷さんは、家庭や企業に眠っている中古パソコンの調達に取り組み、有志で今年1月、同会を作った。
 約25人のメンバーは家庭や勤務先から不用になった機材をもらい受けるなどして、これまでに10台を提供。しかし、パソコンの数は増えても、1人の担任が教えるのではきめ細かい指導は難しく、教師のパソコン習熟度にも差がある。そこで同会のメンバーのうち、大学教員やシステムエンジニア、情報関連会社員といった「専門家」が3月から、授業も手伝うようになった。
 授業への参加は現在、月1回ほどで、「ホームページを見よう」「パソコンで絵をかいてみよう」などのテーマで行われている。メンバーからは「体系的な学習プログラムを作りたい」「地域住民を対象にした講習会も開きたい」などのアイディアも出ており、活動の幅はさらに広がりそうだ。
 児童の間では「優しくていねいに教えてくれるので楽しい」と好評で、教える側からも、「子供たちから元気がもらえるし、覚えるのも早い」との声があがっている。

 一方、東京純心女子大(同市滝山町)の学生は、授業を手伝いながら社会体験を学ぶ「学校インターンシップ」制度の一環として市立第十小学校(同市大和田町、山口裕治校長)で英語を教えている。
 市教委の要請を受け、今年10月から「総合的な学習」の時間に5年生の3クラスで実施。「英会話をしながら楽しく学ぶ」をテーマに、今月19日まで全6回を予定し、英語でジングルベルを歌って躍る授業に始まり、児童による英語劇も行う。
 山口校長によると、「外国人の先生では構えてしまう子どもたちが、学生にはすぐ打ち解けた」という。
 同大4年の吉田美保子さん(22)は「毎回、興味をひくにはどうすればいいか心掛けている」と話す。仲間と何度も集まり、担任の教諭と打ち合わせして指導方針を立てている。
 同大では来年度、英米文化学科に開設する「児童英語教育コース」でこうした校外授業を単位認定する方針だ。学校インターンシップを担当する吉沢良保教授は「卒論のテーマにする学生もいると聞く。来年度は海外の小学校にも派遣したい」と話している。